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縞衣の小説ブログ

縞衣(しまころも)の創作小説サイトです。

Twitter を卒業します。

お知らせ

縞衣です。

以前、こんな記事を書いた事がありました。

 

simakoromo.hatenablog.jp

 この記事を書いてからおよそ一年ですが、Twitter をやめる事を決めました。

今までフォローして下さった皆様、ありがとうございました。

 

やめる事は以前から検討しつつ、フォローして下さっている方がいる事や、ブログへのアクセスも0ではない事から、なかなかやめる決意をできずにいましたが、色々と考えた末、やめる事に決めました。

近日中にアカウントを削除する予定です。

やめてみて不便に思う部分があるかも分かりませんが、作品をUPしていく上で差し障りがないと判断しました。

 

ブログは今後も続けていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

 

1.ほっぺとの出会い(猫のほっぺと僕の日常)

猫のほっぺと僕の日常

 猫って、どうしてあんなにかわいいんだろう。


 僕は24歳の会社員で、大学時代から猫を飼っている。
 正しく言えば、小学生の頃からずっと家に猫がいた…が、それは実家の話で、大学に進む際アパート暮らしを始めた僕は、当然ながら実家の猫とは会えなくなった。


 家を出た当初は、猫を飼うつもりはなかった。
 しかし、学校の傍でいい物件がないかと探し始めた時、安い上にペットOK、という物件を見つけた僕は、なぜかそこに即決していた。
 ペットを飼う予定なんか少しもないのに、である。
 今までずっと猫と一緒だったせいで、ついついペットOKという謳い文句に魅力を感じたらしい。
 そんな自分に苦笑しつつ、半年程が過ぎた。


 大学生活にもかなり慣れ、バイトとの忙しい生活を送っていた僕は、ある日、友人の園田(そのだ)から家に来ないかと誘われた。
 園田の家は大学の近くで、僕の住むアパートのもう少し先にあると聞いていて、歩いて行ける距離という気楽さと、「夕飯奢るから」という言葉に引かれ、僕は彼の家を訪れた。
 家にはご家族がいた。聞いていなかったが、実家暮らしだったらしい。そして「夕食を奢る」という言葉にてっきりどこかのお店へ行くものと思っていたが、気がつけば初めてお会いしたご家族と一緒にテーブルについていた。
 みんないい人たちで、僕は久しぶりに楽しく食事を味わった。


 そうして食べ終わった後で、ふと思った。大学で知り合った園田とはまだそんなに長い付き合いでもないのに、どうしてご家族もいる家に招き、夕食までご馳走してくれたんだろう?
 まるでそんな僕の疑問を見透かすかのように、園田は口を開いた。


「猫もらってくれ」
 確かに家の中には、数匹の猫がいた。かわいいな、触りたいなと思っていた。
 でも、「もらってくれ」という言葉は想像もしていなかったから、僕はぽかんと口を開けて園田を見つめた。


「1匹でいい。お前、猫好きだろ?」
「好きだけど。うち、アパート…」
「ペットOKのな」
「うっ」
「今、4匹いる。これでも2匹は貰ってもらった。でも、あと1匹は減らしたいんだ」
 僕は4匹の猫を見た。2匹が大人で、2匹は子ども。


「もしかして、両親と子ども?」
「そう。最初はオスのコーラだけだったけど、ある日メスのリボンを連れて来たんだ。『もしかして彼女か』って聞いたら『にゃーん』って鳴くし、自分の飯をリボンにやるしで、こりゃ仕方ないかってリボンも飼う事にしたら、子どもがたくさん生まれてさ」
「そりゃ大変だ。これからもたくさん生まれるよ」
「だよなー。でもコーラはともかくリボンに手術受けさせるのはちょっと勇気がいるしな…。メスはお腹切るだろ。だからってコーラだけ手術してもリボンがそのままじゃ意味ないし」
「だね」
「そういう訳で、1匹でも減らしたいんだ。子どもたちのどっちか、気に入った方をもらってくれ。お前、かなり猫好きだろ」


 元々、園田と親しくなったのは猫がきっかけだった。
 講義でたまたま隣の席に座った時、彼がスマホで猫の写真を見ているのが見えて、声をかけたのだ。
 園田は猫が好きで、ネットでいろんな猫のかわいい写真を見ては集めてしまうと言っていた。
 僕も猫は好きだけど、写真の収集まではしない。
 でも、園田の猫写真コレクションを一緒に見るのは楽しいし、猫バナに花が咲く事も多かった。だから園田は、子猫が生まれてから、いつ僕に話を切り出そうかとずっとチャンスをねらっていたという事だった。


「お前んちがペットOKのアパートって分かってたし、猫は飼ってないって聞いてたから、もしかしたら望みはあるかなって」
 園田はそう言ってプッシュしてきたが、僕は猫を見つめたまま考え込んだ。
「ま、返事は待つよ。すぐに決められる事じゃないよな。お前、一人暮らしだし」
「そうだね」


 世話自体は、嫌でもなければ苦痛でもない。猫が好きだし、慣れているから。
 しかし、一人暮らしという事はそれら全てを自分でやるという事だから、バイトで遅くなる日はご飯多めに入れといても足りなくなるかもとか、トイレのしっこ玉がたまって気持ち悪いと入りたがらないから大丈夫かなとか、そういった心配がどうしても生まれてくる訳だ。
 彼の「返事を待つ」という言葉に甘え、その日は子猫をなでたりと交流しただけで帰宅した。


 そして、数日経った。
 バイトが忙しく、猫を飼うか考える事も後回しになっていたのだが、そんな僕に園田は痺れを切らした。
「そろそろ返事くれよ」
 ある日、園田は他の友人もいる場でそう言った。


 彼の地声は大きい。学食で、同じテーブルに座っていた友人たちどころか、近くのテーブルに座っていた人たちまで何事だろうという顔をしていたが、園田は気づいていない様子で、僕に畳み掛けた。
「やっぱり嫌なのか?」
「嫌じゃないけど…」
「だったら、焦らさないでOKしてくれよ。好きなんだし、いいだろ?」
 周囲が、一気にざわついた。
 それもそのはず。これではまるで、色恋話だ。完全に、告白の返事を迫っていると思われている。


「お前ら、いつの間にそういう事になった?」
 一緒に座っていた友人たちも最初はあっけにとられていたが、すぐに興味津々といった体で、ニヤニヤ笑いを向けてきた。
 そこでようやく、園田も気がついた。


「猫の話だよ!」
「猫?」
「そうだよ!うちの猫が子どもを産んだから、1匹もらってくれって頼んでたんだ!その返事をなかなかくれないから焦らすなって言っただけで、告ったとかじゃねえよ!」
「えーマジで?」
「マジだよ!ミナ、お前も黙ってないで何か言えよ!」
「園田の言う通りだよ。ものっすごく紛らわしい言い方だったけど、色恋話じゃない。猫の話だ」
 僕の言葉に、友人たちは拍子抜けした顔をした。


「なんだ。ビックリして損したぜ」
「損したとかいう問題じゃないだろ!だいたい、ビックリしたのはこっちだぜ!なんでそんな話になるんだよ!」
 園田はムキになるが、あれは完全に言い方が悪かっただろう。
「なんでって言うか、むしろ、それ以外にとれなかったと思うけどな」
「そうそう。それに、こっちだって分からないから聞いたんだろ。『いつの間にそうなった』って」
「あ、そっか」
 指摘されてあっさりと納得した園田は結構抜けているが、しかしそこがご愛嬌。友人たちからも面白がられ、親しまれている。


「いやー、でもマジでビビった。こんな公衆の面前で、いきなり『焦らすなよ』とか『好きなんだからいいだろ?』とか迫るんだもんな」
「だから迫ってねぇって!」
「いやー、まさか園がミナを好きだったとは」
「いいかげんやめろよ!」
 園田は真っ赤になっていたが、僕はわりと無関心だった。
 彼の声が大きいおかげで、実は猫の話だったという事も周囲に知れたはずだ。誤解は解けたのだから、落ち着けばそれで終わるのに。あんなに慌てるから、余計にからかわれるのだ。


 それよりも、今の僕には猫を飼うかどうか、その決定の方が重要だった。何せ、あんな勘違いをされるような事を言ってしまうくらいに、園田は答えを急いでいるのだ。受けるにしろ断るにしろ、早く決めなければ。
 僕はバイトのせいにして答えを先延ばしにしていた事を反省しつつ、自分の部屋に猫がいる様子を想像した。

 

 僕が床に座ると、喜んで膝に乗ってくる。
 朝、僕が起きる前に起きて、早くごはんをちょうだいと甘えた声で布団を引っ張る。
 帰宅すると大喜びで迎えてくれて、足元にすり寄ってくる。
 寒い冬には、枕元で丸まって一緒に眠る。


「ああっダメだ!」
 突然大声を上げ頭を抱えた僕に、友人たちがギョッとした。
「ど、どうしたミナ?!」
「からかって悪かった!」
 彼らは僕がからかいに堪えられなくなったと思ったらしく、口々に謝ってきた。が、僕はそんなの後半は全く聞いていなかったし、即座に否定する。
「違う、そんな事はどうでもいいんだ!問題は猫だよ!あのほっぺ君がどうしても欲しい!」
「ほっぺ君…?」


 実を言うと、もしもらうならこっちの猫にしよう、という目星はつけていた。
 だって一目惚れだったのだ。まるで両頬にいたずら書きでもしたかのように、ひげの辺りに丸く黒い模様の入った白地の子猫が、とてつもなくかわいくてたまらなかった。
 それなのにすぐにもらうと言わなかったのは、一人ぼっちの時間が長くて寂しい思いをさせると思ったからだ。
 だからバイトの忙しさにかこつけて、僕は猫の事をなるべく頭の中から追い出した。 でも、こうして考えてしまうともうダメだ。

 

「ああっほっぺ君がほしい!園、僕はほっぺ君をもらう事にする!」
「マジか?!」
「うんマジだ!もうほっぺ君がうちに来てくれると考えただけでたまらない!」
 僕の言葉に友人たちは目を丸くしていたが、一向に構わなかった。

 

「さすがミナ、もらってくれると思ってたぜ!今日バイトないんなら、さっそく来てくれよ!」
「分かった!――いやダメだ、その前にトイレ買わなきゃだし、ご飯もお皿もベッドも用意しないと」
「あー、じゃあうちの車出すから買いに行こうぜ。そしたら今日連れて帰れるだろ」
「うん!やったーほっぺ君と暮らせるんだ!」
 小躍りしそうな僕に、最初は驚いていた友人たちも、おかしそうに笑っていた。
「お前、そんなに猫好きだったんだ」
「うん、めっちゃ大好き!」


 こうして、ほっぺはうちにやって来た。

 

 

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 新連載第一弾!『猫のほっぺと僕の日常』

 猫が大好きな青年と、猫のほっぺ君のお話です。

 よろしくお願いします!

(更新は不定期です。ごゆるりとお付き合い頂けますと幸いです。)

猫のほっぺと僕の日常 もくじ

猫が大好きな『僕』と猫の『ほっぺ』の、ほのぼのストーリー。

 

1.ほっぺとの出会い(猫のほっぺと僕の日常

 

 

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