ちゃんづけは禁止です。
「あの、弓下君。この間はごめんなさい、お酒の勢いで告白なんかしちゃったりして。反省してます」 歓迎会の数日後、出勤した僕は待ち構えていた松浦さんからそう言って深々と頭を下げられた。 翌日は松浦さんが休みで、その翌日は僕が休みだった。数日経っ…
弓下さんが坂上君を連れて出て行ったとたん、何人かが一斉にほーっと息を吐いた。 「え、何でみんなそんなに緊張してるんすか?」 思わず零した問いに、さっきの数名が一斉に私を見る。「だってウサちゃん! さっきの弓下さん、めっちゃ怖かったじゃん!」「…
やばい、やばいやばい。 九時過ぎ、家に送ってもらうため先輩方に挨拶して先に歓迎会を切り上げてきた俺は、前を歩く弓下さんの背を見ながらかなり緊張しまくっていた。 弓下明依さんは、俺のバイトの面接を担当してくれた人だ。それ以前に、神対応で俺の憧…
「私ビール追加ぁ!」「俺も生一つー!」「私チューハイがいいでーすっ」「梅酒!」「カルピスサワー!」「はいはい、分かったから落ち着いて。――すみません、追加注文お願いします!」 新人さんが入ってくると、歓迎会にかこつけてみんなお酒を飲みたがる。…
僕、弓下(ゆみした)明依は、書店兼レンタルショップで働いている。 フロアは広い。ワンフロアに書籍からレンタルDVDやCD、コミック、セルのソフトまで取り扱うので、広くなければ収まらないのだ。 高校生の頃に夏休みと冬休みにアルバイトし始めたのが縁で…
Q.宝くじで一億円が当たりました。あなたはどうしますか?A.迷わず貯金する。 「ほんっと面白くないわね、あんたって。なるほど、いつまで経っても彼女ができない訳だわ」 雑誌についていた心理診断中。呆れ声の叔母に、僕は肩をすくめた。「はいはい、いつ…
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