HP閉鎖しました。
こんにちは、縞衣です。
先日、HPをリニューアルしたばかりだったのですが、色々と気に入らない点があり閉鎖しました。
Ameba Ownd を利用しており、サイトは非常に綺麗だったのですが…。
シンプルで使いやすいんですけれど、どちらかというと、どーんとご自分の作品を美しく紹介されたいアーティストの方向けのような気がします。
私はただ電子書籍の紹介ページを作れたらよかったので、デザイン重視でなくても良かった。その点で求めているものと違っていました。
(小説用のHPとして使っていらっしゃる方もいるので、一番の原因は使いこなせない私にあるのですが。)
そして、再びライブドアブログの方で挑戦。
前回は納得がいかずすぐに削除してしまいましたが、だいぶ慣れてきた事もあり、どうにかできました。
サイト名が思いつかず、ひねりも何もないですが。
とにかく電子書籍の紹介ページを作りたくて、大急ぎで作ったという感じです。
今回知ったのですが、ライブドアブログは、写真を回り込んでの文字の表示が可能です。
今まで、画像を挿入した事がなかったので気づきませんでした。
やはり何事も、一歩ずつの勉強が大切だと今回の事で再認識しました。
前回はうまくいかなかったけれど、経験を積み勉強する事でステップアップしていけるんだなぁと、とても充実した気持ちになりました。
そんなの当たり前…と言ってしまえばそれまでですが、そういった小さな一つ一つを大切にできる、そんな作品作りをこれからも目指していきたいです。
的中した悪い予感と、彼女の腕の中(桜田桜の日常19)
掃除やホームルームも終わり、ようやく放課後になった。
「はあ…」
一日の間に色々な事があって、桜は知らず知らずのうちに溜息をつく。
「おい、そんな疲れた顔するなって。今日は調理実習だろ?」
そう言ってバンと背中を叩かれ、桜は顔を上げた。
「終わったら行くから、また後でな!」
花岡は片手をヒラヒラと振り、桑尾と一緒に教室を出て行く。
「部長が彼女になったから緊張するんだろ」
深山の言葉に、桜は頷いた。
「みんなから冷やかされるだろうし…」
「それは必然だから仕方ない。覚悟を決めろ」
「だよね…」
「まあ今のところ、暴力振るわれたりはしてないから良かったじゃないか」
「それはそうだけど。でも、廊下を歩くだけでいろんな人からチラチラ見られたりするし。て言うか、今のところって事は今後はあるかもしれないって事?」
「そりゃそうだろ。最初は、『どんなにいい男に告白されても心を動かさなかった晴夏様が、自ら男に告白なんてあるはずがない』って思ってる人もいるだろ?それが、数日経って事実だと判明したらどうなる?怒りが増すじゃないか」
「う、それは確かに…」
「いざという時は、自慢の脚で逃げ切れ」
深山は桜の肩に手を置くと、「じゃ、俺も部活行くわ」と出て行った。
再び溜息をつきそうになり、桜はいけないと首を横に振る。
暗く沈んだ気持ちでいると、何かあった時に対応が遅れてしまうかもしれない。
もしも誰かに絡まれたら、毅然とした態度で応じなければ。
背が低くて肝も小さいなんて思われたら、これからの学校生活に支障をきたす。
「よし、頑張れ俺…!」
小さくガッツポーズを作り自らを奮い立たせていると、近くの女子からくすくす笑われ、「サクラ君かわいー」と言われてしまった。
★
悪い予感は、なぜか的中するものだ。
「へー、こいつが噂の桜田桜か」
教室を出た数分後、調理実習室へと向かっていた桜は、放課後にはほぼ人通りがないと言ってもいい廊下で、三人の男子に絡まれていた。
桜が料研部員と分かっていて、待ち伏せしていたのだろう。
「すみません、部活があるので失礼します」
脇を通り抜けようとしたが、当たり前と言うべきか、腕を広げて阻止された。
「あのさぁ、俺たちここでわざわざ君を待ってたんだよ?むざむざ通してやる訳がないじゃん。噂通り、女顔で小さい可愛い桜ちゃん」
すっと背の高い、黙っていれば女の子にモテそうな甘い顔立ちの男が、そう言って身をかがめ、桜に顔を近づけてくる。
「その辺の女より小顔だよね?眉なんか手入れしてなくても綺麗だし、まつ毛も長くてお目目もパッチリ」
「ははは、何だそれ」
「お人形の宣伝かよ!」
「鼻もちっちゃくて可愛いし、唇もぷっくりしてて…実はさ、女の子だったりしてね?」
「あー確かに、こいつなら女子の制服着てたら普通に女に見えそうじゃん」
「て言うか、その辺の女より可愛いんじゃねぇの?」
いっそゲラゲラと馬鹿みたいに大笑いしてくれればいいのに、ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべて品定めするような視線を向けられ、桜は眉を寄せながら一歩後退する。
「あ、そんな怖がらないでよ。心配しなくても、こんなとこでヒドイ事したりしないからさ」
黙っていればモテそうな残念男は、さっきから桜の唇をじっと見ている。
「晴夏様ともうチューした?」
「は?」
いきなり何を言い出すのか、と思った時、残念男は素早い動きで桜へと長い腕を伸ばす――。
目に映った時には、体が反応していた。
桜は瞬時に左手のカバンを放り投げ、伸ばされた腕を掴み、半回転する。
「!」
悲鳴を上げる暇もなく、残念男は背中から廊下に沈んでいた。
「なっ!」
「マジかよっ」
見物していた二人が、驚きの声を上げた。
「痛てぇ…」
受け身をとっても、下が廊下では痛いはずだ。
少し気の毒だったが、こちらも身を守る為だから致し方ない。そもそも、嫌らしい目を向け絡んできた彼らが悪いのだ。
「先輩方も投げ飛ばしましょうか?」
桜がわざと余裕たっぷりに言い放つと、彼らは顔を赤くして「や、いいです…」と視線をさまよわせる。
「じゃあ、俺は部活に行かせてもらいます」
「どっどうぞっ」
ひ弱だと思い込んでいた相手が思いがけず護身術を身に着けていて驚いたからなのか、彼らはさっと桜が通る道をあけた。
桜はカバンを拾うと、二人の顔をそれぞれ見る。彼らは慌てて目を逸らすが、その顔をしっかりと記憶すると、調理実習室へと向かった。
一人の相手に三人で絡んでくるような相手だ、警戒するに越した事はない。
彼らの視線を嫌と言うほど背中に感じるから、桜は堂々とした歩調を乱さないように一歩一歩を歩く。
そして、角を曲がって見えなくなると、桜は一気にペースを上げて半ば走るように調理実習室へと駆け込んだ。
今までにも『小さい』とか『色が白い』だとか、『女の子みたい』などと言ってからかわれたり嫌味を言われたりした事はあったけれど、あんな風に嫌らしくねっとりとした視線を向けられた記憶はない。
それも一人二人ではなく、三人もの相手から…。
もしも一瞬反応が遅れて、抱き付かれていたら…そう考えるだけで、体がぶるりと震える。
後ろ手に戸を閉めた桜は、力が抜けてその場に座り込んだ。
「どっ、どうしたんだ桜!」
一番に気づき駆け寄って来た晴夏は、驚きと戸惑いをその表情に宿していて、桜は申し訳ないやら嬉しいやらで、ぎこちない笑みを返す。
「何かあったのか?!誰かに酷い事された?!」
首を横に振る桜を、晴夏はぎゅっと抱きしめてくれる。
それが嬉しくて、桜は彼女の肩に頬を預けた。
彼女の腕の中は、驚くほど温かくて、とても心地よかった。