夕雨の噂(岩尾七海とSevenSea5.5)
「ねぇねぇ、聞いた?4組の岩尾君、ブラコンなんだって」
「聞いた聞いた!なんか教室で、お兄さんの事『すっごいイケメンでカッコよくて超エロイ』とか言ってたらしいよー!」
「えーっ!」
「どんだけお兄さん好きなのかっての!」
「でもお兄さん、美容師で空手黒帯だって。マジでカッコよくない?」
「やっぱり岩尾君に似てるのかなぁ」
「岩尾君、顔のつくり自体はカッコいいけど、性格がマイペースで周りとちょっと波長が違うみたいだからねぇ」
「いやいや、あれはちょっとじゃなくてかなりでしょ。真辺君が『みんなが驚いてる』って教えた時、『そんな事どうでもいい』って言ってたらしいよ」
「うわー、ある意味すごいね。そこまでいくと」
「ねー、普通はもっと人目とか気にするよね」
「気にしようとしなくても気になるし、悪口書き込まれたりしたら嫌じゃん。そういうのも平気なのかな」
「なんて言うか、肝が据わってる?」
「ねー、意外と」
「少し抜けてるとことかあっても、そこがカワイくもあるよね」
「性格キツそうに見える真辺君が、何かと面倒見てるじゃない?ああいうの見ると、ちょっと萌えるよね」
「なんだかんだで、あの二人って結構モテるし」
「だって顔がいいもん」
「その岩尾君がすっごいイケメンって言うんだから、やっぱりお兄さんはものすごくカッコいいって事だよね!」
「なんか筋肉もムキムキらしいよー!」
「あー……私そっち系は苦手かなー」
「いやいや、ムキムキって言っても細マッチョなんだって!」
「へーっ!」
「兄弟でイケメンってすごいなぁ」
こうして夕雨の話題は女子トークのネタになっていたが、不思議な事に、みんな『夕雨がブラコン』という部分をさして気にする事はなかったのだった。