縞衣の小説ブログ

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料理研究部の入部規則(桜田桜の日常3)

 放課後。
 桜(さく)は、料理研究部の部室である調理実習室へと向かった。
 火曜日の今日は明日の実習に向けて、近くのスーパーへ買い出しに行く事になっている。
 桜がいつも行っている『フレッシュ館』だ。

「お疲れーっす」
「ああ、来たサクラ君」
「遅いよー、もうみんな来てるよ」
「すみません。ジャンケンに負けて、ゴミ捨てに行ってました」

 本当は掃除の時間に教室担当が行くはずなのだが、ジャンケンに負けた桑尾(くわお)が行っていなかったのだ。
 桑尾はホームルームが終わるなり猛ダッシュで部活へ(多分、分かっていて逃げた)。
 責任を持って誰かが行けという話になり、結局、再度ジャンケン。
 そして、桜が負けた。

 桜は、心に決めた。
(覚えてろ桑尾。明日締めてやる)

「ゴミ捨て?掃除時間に行ってなかったの?」
「行ってなかった奴が即行で部活行って、結局またジャンケンして負けて」

「それは災難だったね」
 三年生の部長に笑いかけられ、桜はそっぽを向いた。

「や、別にそこまでじゃないです」
 普通に話してくれればいいのに。
 言葉の端々に笑みを混ぜるの、やめてほしい。

 部長は、黒髪のサラサラなストレートヘアの持ち主だ。
 おまけに、美人。
 スタイル抜群。
 成績優秀。
 指はスラリと長く、爪の形もきれいだ。
 そんな美人が料理をするのだから、もう男はメロメロだ。

 こんな美女がいるのに、料研にはほとんど男子がいない。
 それはなぜか。
 この部長が『異性を目的とした入部は断固禁止』しているからだ。
 提出された入部希望書を部長がチェックし、必要なら面接もして、『異性を目的としていないか』をチェックするという。

 ちなみに、桜の目的は『早く自立する為に料理を覚える事』だったので、快く入部させて貰えた。
 聞いたところによると、今年入部希望を出した男子のほとんど…と言うより桜以外の全員が、この書類選考により入部拒否されたそうだ。

 そこまで徹底するのは、調理実習ができる人数に制限があるからだそうだ。
 部員なのに実習ができない…という事態を避ける為らしい。
 もっとも、このべっぴんな部長が入る前までは、地味な部活として、興味を示す男子はほとんどいなかったらしいが…。

 花岡の入部は、認めて貰えるのだろうか。

「部長、後で聞きたい事があるんですけどいいですか」
「じゃあ、部活終わった後でね」
「ありがとうございます」

 桜がお礼を言うと、部長はニッコリと笑った。
 ああ…だからやめてほしいんだよ、それ。
 ただ目が合うだけで照れるとか、恥ずかしい。
 『本当は部長狙いで入部したんでしょ』なんて言われかねないし…。

「よし。買い出しに行こうか」
「はい!」
 部長の鶴の一声で、みんなでスーパーへ向かった。

4.部長と窓ドン

2.ミートボール

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